飛行機を使わずにアジア旅

地球上で一番好きな場所を探したい

新しい土地で、見たことのない世界を感じることが大好きです。夢は、この地球上で最も愛する場所に、人に、光景に出逢うこと・・

【18】生きる

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littlegreeneri.hatenablog.com

 


バラナシに到着したことによって、
私のインド旅は終わったも同然だった。
「死の街」とも呼ばれるここバラナシで、
私は生きる希望をもらったのだから。


・・・・・


今その人に出逢ったとしたら、
きっと(極端に言うと)何の変化ももたらさないのだろう。
それはきっと良いことだと思う。
私の中にある課題を乗り越えた、ということだから。

 

バラナシで出逢った彼は、それはもう今を生きていた。生きざるを得なかった。
生きようと必死だった。
そんな真っ直ぐな彼に惹かれたのは、自然なことだったように思える。
惹かれた、と言ってもそれが恋心なのか、
はたまた憧れだったのか、それは今でも分からない。


当時、私は「死ぬのが怖い」という思いに取りつかれていた。
怖いと思うレベルが異常だった。
そりゃあ死は未知の世界だから怖いに決まってる。
そうじゃなくて、私は毎日毎日、それも何度も、
「死ぬのが怖い」「死んだらどうしよう」「もし今こうなって死んだらどうしよう」
と考えていた。

 

事の発端はインドへ行く一年前に突然やってきたパニック発作だった。
呼吸がうまくできず、「あ、私死ぬんだ」という感覚を味わった。
それから約一年の間、私はパニック障害という病気と闘っていた。
頭の中は、「死の恐怖」でいっぱいだった。


思い切って仕事をやめたことで症状は良くなった。
(というのも、17階の職場で何度も発作を起こしたことによって高所恐怖症になったから。今でも治っていない・・
面白いことに飛行機は大丈夫だった。)

 

「お金は天国にもっていけないよ」
「日本人はみんな働きすぎ」
「もっと今を楽しもうよ」

彼の口癖だった。
(バラナシに行く人はおそらく彼のことを知っている人も多いかもしれない笑)


彼のことは完全なる私の主観なので、
違っていることも多々あるだろうがそれはご了承ください。

 

彼は、コミッションボーイ?と呼ばれる、
観光客をお店につれていき、
そこでお金を落としてくれたら、
彼にも何パーセントかお金が入る仕事をしていた。

きっと毎日お金のことを考えていただろうから、
どうしたら観光客がお金を落としてくれるかを熟知していた。
そう、口がとてつもなく達者だった。(日本語が)

おそらく学校なんて行ったことないのだろう。
それでも彼はお金を稼ぐためには、
そこへ訪れる観光客からお金を落としてもらうしかないのだ。
騙したこともあるだろう。

それでも、
彼は間違いなく「今」を生きてた。

私は「死んだらどうしよう」と未来を生きていた。
(勝手に湧き上がってくるものだったので、
当時その考えをコントロールできなかったのだが)

 

バラナシではガンジス河のほとりで焼かれたい人々がたくさんやってきていて、
おそらく24時間365日人々が焼かれ続ける場所だ。
日本でも亡くなった方を火葬するだろうが、
それを見ることはない。
人々が公で焼かれていく死の街で、必死に今を生きる人たちに出逢い、
何かが私の中で変わったのが分かった。


今も多少はそうなのだが、
当時は過去や未来のこと(特に未来のこと)に過度な不安を抱いていた。
「こうなったらどうしよう」というWhat ifばっかり考えていたのだ。

私がパニック障害になったのは、
そういった不安が度を越してしまったからなのだろう。

 

「今を生きよう(生きる努力をしよう)」

 


・・・・・


一回目のインド旅から帰って来た私は、その二週間後またバラナシの空港へ降り立った。
もう少し、この頭をガツンと殴られたかのような?笑「生」を味わいたい。
生きているって感じていたい。
そういう思いだった。

彼は、そこにいる人々は、相変わらず今を生きていた。

少なくとも私はそう思った。

 


気温40度を超える猛暑の中、力がみなぎっていくのを感じた。

 

 

 

おわり

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